自己破産した場合の財産について

Q. 自己破産したら、財産は全て取り上げられるのでしょうか?

A.

①家財道具

生活に必要不可欠な家財道具は差押禁止財産ですので、処分する必要はありません。しかし、不相当に高価な家財道具(大画面のテレビなど)は生活に必要不可欠とはいえませんので、裁判所や管財人から換価を求められる場合があります。

②生命保険

名古屋地方裁判所岡崎支部では、同時廃止事案の場合には解約する必要がありません。管財事案の場合でも自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば換価する必要はありません。これを超える場合は解約して換価するのが通常ですが、保険自体を残したいときは、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。

③自動車

名古屋地方裁判所岡崎支部では、初年度登録から7年経過した自動車は無価値とみなして換価しません。7年以内の場合は査定を出すことになりますが、同時廃止事案の場合には解約する必要がありません。管財事案の場合でも自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば換価する必要はありません。これを超える場合は売却して換価するのが通常ですが、自動車を残したいときは、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。
また、所有権留保がついている場合(所有権が販売会社などに留保されている場合)には、所有権者が引き揚げるのが通常です。自動車を残したいときは、代わりに払ってくれる人に債務引受をしてもらって、引き続きローンを支払ってもらうなどの対策が必要です。

④賃貸中のアパート等

賃料の滞納がなければ出て行く必要はありません。
賃料の滞納がある場合には、滞納賃料も破産債権として挙げることになりますので、賃貸借契約を解除されてしまい、出て行かなくてはならなくなる場合があります。

⑤退職金

退職金見込額も財団と見なされますが、本当に退職する必要はありません。
名古屋地方裁判所岡崎支部では、同時廃止事案の場合には特に問題ありません。管財事案の場合でも、破産時点での退職金見込額の8分の1が自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば特に問題ありません。これを超える場合は、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。
なお、近いうちに退職が予定されており、退職金を受領することが確実と見込まれるときは、退職見込額の4分の1となります。

⑥自宅不動産

名古屋地方裁判所岡崎支部では、土地については固定資産評価額を2倍、建物については1.5倍にした金額と残ローンを比較して、残ローンの方が多い場合には、同時廃止事件(管財人が付かない)となります。
そうでない場合には管財事件となる可能性が高いです。
なお、同時廃止事件であっても、管財事件であっても、ローン会社が抵当権を実行して競売にかけたり、管財人が任意売却をして、最終的には自宅の土地建物は手放すことになります。
自宅を手放したくない場合には、住宅資金特別条項付の個人再生手続ができないか検討します。


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