‘自己破産’ カテゴリー一覧

自己破産した場合の戸籍や住民票への記載について

Q. 自己破産した場合、戸籍や住民票に記載されますか?

A.

時々心配される方がいらっしゃいますが、破産した場合でも戸籍や住民票に記載されることはありません。ですので、婚姻の際に知られてしまうといった心配はありません。

なお、破産手続中は本籍地の市町村の破産者名簿に記載されますが、破産者名簿は非公開とされており、また、破産手続きが終了し、免責・復権をすると抹消されます。

また、選挙権がなくなるといった噂もありますが、そのようなこともありませんのでご安心下さい。

 


破産したら、引っ越しや旅行ができなくなる?

Q. 破産した場合、引っ越しや旅行ができなくなるのでしょうか?

A.

自己破産でも同時廃止となる事案では住居の制限はありませんので、引越も旅行もできます。

管財人が選任される事案では、引越や長期旅行に行くためには裁判所の許可が必要です。事前に弁護士に報告して、裁判所の許可を取ってもらって下さい。無断で引っ越しや長期旅行に行ったことが判明すると、事情によっては免責不許可となることもありますので、ご注意下さい。


破産した場合の家族への影響

Q. 破産した場合、家族や子どもには何か影響があるのでしょうか?

A.

法律上は各個人が別に扱われますので、保証人などになっていない限り、他の家族や子どもが返済する義務はありません。しかし、保証人になっている場合には、保証人に関しても債務整理等の対応を検討する必要があります。

ただ、破産する方が所有する自動車が売却換価される場合や債権者に引き上げられる場合には当面の交通手段に不便が生じたり、自宅に家族や子どもが住んでいる場合には、自宅が売却換価されることで引っ越しをすることになったり、という影響を受けることはあります。

この場合でも、親族や友人などに買い取ってもらって、使用を継続することができるケースもありますので、弁護士にご相談下さい。

 

 


破産後の就職

Q. 破産した場合、つけなくなる職業があるのでしょうか?

A.

法律上は、破産した場合に資格を喪失する事由(欠格事由)が規定されています。よく相談を受ける職業としては、警備員、宅地建物取引主任者、保険の代理店(外交員)などが該当します。他人の財産に関わる職業についてはふさわしくないと思われるため制限されています。

もっとも、法律上は免責決定が確定すればこれらの欠格事由が回復します(復権)。同時廃止の事案では、破産開始決定から免責決定の確定までは2~3ヶ月ほどですので、それほど支障がない場合も多いと思われます。しかし、破産するときにこれらの職種に就いている方については、一時休職などが必要になることがありますので、弁護士にご相談下さい。

 

 


破産後の借入れについて

Q. 破産した場合、今後は一生借入ができないのでしょうか?

A.

金融機関はJICCやCICといった信用情報機関で返済状況や延滞などの事故情報を確認しています。ここに事故情報が載っているのが、いわゆるブラックリストです。事故情報は免責が確定してから5年ほど登録されますので、その間は審査で引っかかって借入ができないことが多いです。クレジットカードの作成も同様です。

しかし、そもそも経済的再生のため破産をしたのですし、2度目の破産は難しくなりますので、再び借入をしないのが一番です。破産申立ての際には、その後の生活設計も考えましょう。

 


免責不許可事由について

Q. 免責が受けられないのはどんな場合ですか?

A.

借金を返済しなくても良くなるためには、単に破産開始決定を受けるだけでは足りず、さらに免責決定を受ける必要があります。しかし、免責不許可事由に該当する場合には、原則として免責決定をもらえません。

よく問題となるのは、ギャンブルや浪費により過大な借金を抱えた場合、嘘をついて借金をした場合(名前や収入を偽って借りた場合、偽装の養子縁組で姓を変えて借金した場合)、財産を隠していた場合、過去に免責決定を得て7年を経過しない場合などです。

もっとも、免責不許可事由に該当しても、事情によっては裁判官が裁量で免責決定を出してくれる場合もあります。そのために、負債の内の一部を積立てて均等に弁済したり、謝罪文を書いたりすることもあります。裁判官との交渉によっては、裁量免責が出ることもよくあります。もちろん岡崎支部でも同様です。

裁量免責も難しい事案の場合は、破産の申立てではなく、個人再生の申立てを検討することとなります。
免責不許可事由に該当するかどうか、免責不許可事由に該当する場合に破産を申し立てるかどうかは、弁護士とよく話し合って慎重に判断して下さい。


自己破産した場合の財産について

Q. 自己破産したら、財産は全て取り上げられるのでしょうか?

A.

①家財道具

生活に必要不可欠な家財道具は差押禁止財産ですので、処分する必要はありません。しかし、不相当に高価な家財道具(大画面のテレビなど)は生活に必要不可欠とはいえませんので、裁判所や管財人から換価を求められる場合があります。

②生命保険

名古屋地方裁判所岡崎支部では、同時廃止事案の場合には解約する必要がありません。管財事案の場合でも自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば換価する必要はありません。これを超える場合は解約して換価するのが通常ですが、保険自体を残したいときは、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。

③自動車

名古屋地方裁判所岡崎支部では、初年度登録から7年経過した自動車は無価値とみなして換価しません。7年以内の場合は査定を出すことになりますが、同時廃止事案の場合には解約する必要がありません。管財事案の場合でも自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば換価する必要はありません。これを超える場合は売却して換価するのが通常ですが、自動車を残したいときは、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。
また、所有権留保がついている場合(所有権が販売会社などに留保されている場合)には、所有権者が引き揚げるのが通常です。自動車を残したいときは、代わりに払ってくれる人に債務引受をしてもらって、引き続きローンを支払ってもらうなどの対策が必要です。

④賃貸中のアパート等

賃料の滞納がなければ出て行く必要はありません。
賃料の滞納がある場合には、滞納賃料も破産債権として挙げることになりますので、賃貸借契約を解除されてしまい、出て行かなくてはならなくなる場合があります。

⑤退職金

退職金見込額も財団と見なされますが、本当に退職する必要はありません。
名古屋地方裁判所岡崎支部では、同時廃止事案の場合には特に問題ありません。管財事案の場合でも、破産時点での退職金見込額の8分の1が自由財産の範囲内(その他の財産と合わせて99万円以内)であれば特に問題ありません。これを超える場合は、99万円を超える額を破産財団に組み入れることになります。
なお、近いうちに退職が予定されており、退職金を受領することが確実と見込まれるときは、退職見込額の4分の1となります。

⑥自宅不動産

名古屋地方裁判所岡崎支部では、土地については固定資産評価額を2倍、建物については1.5倍にした金額と残ローンを比較して、残ローンの方が多い場合には、同時廃止事件(管財人が付かない)となります。
そうでない場合には管財事件となる可能性が高いです。
なお、同時廃止事件であっても、管財事件であっても、ローン会社が抵当権を実行して競売にかけたり、管財人が任意売却をして、最終的には自宅の土地建物は手放すことになります。
自宅を手放したくない場合には、住宅資金特別条項付の個人再生手続ができないか検討します。


破産手続きの種類について

Q. 破産手続きにはどんな種類がありますか?。

A.

破産手続きには内容に応じて3つの種類があります。

①同時廃止

破産手続きを続行しても、換価して配当に回せる財産どころか、破産手続き費用(主に管財費用)に充てる財産も無く、免責についても問題が無いと思われる事案については、破産手続き開始と同時に廃止となります。あとは免責を待つだけとなります。
岡崎支部では同時廃止の場合には裁判所の出頭する審尋手続はありません。
同時廃止となるか管財となるかについては基準があります。預金、保険、自動車など各財産の単体で基準額を超えていないか、総額で基準額を超えていないか、の判断が必要となります。各財産の評価の方法も問題となりますので、弁護士にご相談下さい。

②少額管財

換価すべき財産は無いが免責上問題があるので調査する必要がある場合や、換価すべき財産はあるが簡易な手続きで済む場合、法人の破産と同時に代表者の破産も申し立てる場合などには、③の通常管財ではなく、少額管財となり、管財人が選任されます。
少額管財の場合には、岡崎支部では管財費用として20万円の予納が必要となります。
また、3ヶ月に1度程度で債権者集会が開かれますので、手続終結に至るまで毎回出頭する必要があります。ただ、債権者が来ることはあまり無いので、管財人の報告だけで終わることがほとんどです。

③通常管財

換価すべき財産がある場合は、原則として通常管財となります。通常管財では管財人が選任され、換価・配当・免責調査を行います。法人の破産の場合にはまず通常管財となります。
通常管財の場合には、岡崎支部では管財費用として40万円の予納が必要となります。ただし、法人の破産の場合には負債額に応じて60万円~の予納が必要となります。
債権者集会については少額管財と同じです。


破産した場合の裁判所への出頭義務について

Q. 破産した場合の裁判所への出頭義務について教えてください。

A.

破産手続開始決定が出される前に、申立人が裁判所に出頭して、破産に至った経緯等を説明する「審尋」という手続が行われることがあります。弁護士に破産申立手続を委任していても、直接本人から事情を聞くことになっておりますので、弁護士と一緒に申立人本人も出頭する必要があります。

また、免責決定が出される前にも、免責してよいか否かを判断するため、「審尋」が行われる場合があります。この場合も本人が出頭する必要があることは同じです。

もっとも、これらの「審尋」は必ず行われるものではなく、申立てをする裁判所によります。
現在の名古屋地裁岡崎支部では、弁護士が申立てをした、破産に至る経緯や免責について問題のない同時廃止事案については審尋を省略しています。

すなわち、出頭の必要はありません。但し、管財事案については出頭の必要があります。

 


破産申立と破産手続開始決定について

Q. 破産申立と破産手続開始決定とは何ですか?

A.

破産申立書には、申立人に多額の借金があること、現在の財産や収入の状況、その状況では借金の返済ができないこと、破産に至った経緯などを記載して、疎明資料と一緒に提出します。

裁判所は、申立書と疎明資料から、返済できない(債務超過・支払不能)と判断した場合に破産手続開始決定を出します。
なお、裁判所は申立てを受けた段階で、免責不許可事由(7年以内の再度の申立て、浪費やギャンブルによる過大な借金など)がないかも審理しており、免責不許可となる可能性が高い場合には申立ての取り下げを打診されることもあります。

これは岡崎の裁判所でも同じで、弁護士は依頼者からの相談の段階で詳しく事情を聞いて、免責不許可となる可能性にも配慮しながら、破産か個人再生かをアドバイスします。


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