Posts Tagged ‘債権者’

破産手続きの種類について

Q. 破産手続きにはどんな種類がありますか?。

A.

破産手続きには内容に応じて3つの種類があります。

①同時廃止

破産手続きを続行しても、換価して配当に回せる財産どころか、破産手続き費用(主に管財費用)に充てる財産も無く、免責についても問題が無いと思われる事案については、破産手続き開始と同時に廃止となります。あとは免責を待つだけとなります。
岡崎支部では同時廃止の場合には裁判所の出頭する審尋手続はありません。
同時廃止となるか管財となるかについては基準があります。預金、保険、自動車など各財産の単体で基準額を超えていないか、総額で基準額を超えていないか、の判断が必要となります。各財産の評価の方法も問題となりますので、弁護士にご相談下さい。

②少額管財

換価すべき財産は無いが免責上問題があるので調査する必要がある場合や、換価すべき財産はあるが簡易な手続きで済む場合、法人の破産と同時に代表者の破産も申し立てる場合などには、③の通常管財ではなく、少額管財となり、管財人が選任されます。
少額管財の場合には、岡崎支部では管財費用として20万円の予納が必要となります。
また、3ヶ月に1度程度で債権者集会が開かれますので、手続終結に至るまで毎回出頭する必要があります。ただ、債権者が来ることはあまり無いので、管財人の報告だけで終わることがほとんどです。

③通常管財

換価すべき財産がある場合は、原則として通常管財となります。通常管財では管財人が選任され、換価・配当・免責調査を行います。法人の破産の場合にはまず通常管財となります。
通常管財の場合には、岡崎支部では管財費用として40万円の予納が必要となります。ただし、法人の破産の場合には負債額に応じて60万円~の予納が必要となります。
債権者集会については少額管財と同じです。


自己破産手続きの流れについて

Q. 自己破産手続きはどのような流れですか?

A.

基本的には、

①申立て

②破産手続開始決定

③管財人の選任

④管財人が破産者の財産を換価

⑤換価した金銭を各債権者に配当

⑥破産者の免責の流れ

となります。

換価できる財産が無く、免責にも問題が無さそうな場合には、③~⑤までの手続きは行われません(同時廃止)。

一般的な個人の破産では、ほとんどが同時廃止で終わります。

その場合、①②⑥の手続きのみが行われますが、②と⑥の前に審尋をする裁判所もあります。現在、岡崎支部では原則として審尋は行っておりません。

破産申立から免責決定の確定までには、同時廃止の場合で大体3~4か月かかります。管財人が付く場合で、換価に時間がかかる場合(売却に問題のある不動産があるなど)には、その分だけ時間がかかります。

弁護士に手続を依頼した場合には、①の前に、弁護士が債権者へ受任通知を出して、債務者本人への取立をストップさせ、返済も止めますので、⑥までの間、債権者からの請求や返済に悩まされるということはありません。

 


民事再生手続後の自分の財産について

Q. 民事再生の場合、持っている財産はどうなりますか。

A.

民事再生の場合、債権者への支払総額を算定するにあたり、所有資産総額を計算する必要があります。その金額を証明するための資料を裁判所に提出する必要がありますが、基本的には処分までする必要はありません。
よくある主な財産は以下のとおりです。

  1. 預貯金・積立金
    通帳や定期預金の証書の写しを提出しますが、解約する必要はありません。
  2. 生命保険
    保険証書や解約返戻金の証明書を裁判所に提出する必要がありますが、解約する必要はありません。証明書は保険会社から取り寄せます。
  3. 自動車・オートバイ
    時価評価額の証明書を裁判所に提出する必要がありますが、売却する必要はありません。ただし、所有権留保(所有権が販売会社などに留保されている場合)がついている場合には所有権者に返還する必要があります。返還したくない場合には、申立人の代わりに払ってくれる人に債務引受をしてもらい、代わりにローンを支払ってもらうことで返還しなくても良いことがあります(債権者兼所有者が承諾する必要があります)。
  4. 不動産
    時価評価額から抵当権などの被担保債権額を引いた金額が評価額となります。登記簿謄本や不動産業者の査定書などを提出しますが、売却する必要はありません。
  5. 退職金
    申立時点での退職金見込額の証明書・計算書を提出しますが、前借りする必要はありませんし、もちろん本当に退職する必要もありません。証明書・計算書は勤務先から入手します。
  6. ゴルフ会員権・株券
    時価評価額の証明書を提出しますが、売却する必要ありません。証明書は管理会社や証券会社から入手します。

民事再生の種類

Q. 民事再生には、どのような種類がありますか。

A.

①小規模個人再生

②給与所得者等再生

上記の2種類があります。また、それぞれに住宅資金特別条項を利用できますので、住宅ローンを別枠として支払い、自宅を残すことができます。

 

①小規模個人再生

再生計画案(大幅カットした残額をどのように返済していくかの計画)について債権者の議決が必要で、債権者の過半数が反対すると再生手続きは破産手続きに移行してしまいます。

しかし、債権者としては破産されるより民事再生で少しでも返してもらった方が得なので、反対されることはほとんどありません。

 

②給与所得者等再生

債権者の議決は不要ですので、破産手続に移行することはありませんが、可処分所得の2年分以上の金額を3年かけて支払わなければなりませんので、返済総額は小規模個人再生よりも多くなってしまう場合が多いです。


借金の整理の方法

出産、怪我、病気の入院により一時的に多額のお金が必要になったり、会社が倒産して生活費のために借金をしなければならなかったりする場合があります。その後、予定していた収入が無く、借金が積み重なったり、借りて返しての繰り返しで、借金の額がふくらんでいき、支払が困難となってしまうこともあります。

そのような場合に、債務(借金)整理の法的手段として主に以下の4種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、手続が難しいこともありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

弁護士に依頼すると、まずは債権者からの請求を止め、代わりに交渉窓口となって、債権者に対応します。それとともに、借金の状況を把握した上で、最良の方法を一緒に考えることができます。

 

①任意整理

裁判所による法的整理(次の②~④等)を使わず、債権者と交渉して、借金の返済条件の変更(返済期間、毎月の返済額、利息のカットなど)を行います。利息制限法で定める上限金利(15~20%)を越える金利で借りていた場合は、上限金利で債務額を再計算するなどして適正な債務額を確定してから、返済の計画を立てることとなります。

再計算の結果、利息を払いすぎていた場合(過払い)には、逆に過払い金の返還を請求することとなります。

 

②特定調停

簡易裁判所が、債務者と債権者との話し合いを仲裁して、返済条件の軽減等の合意が成立するよう取り持つ手続です。

 任意整理と同様に、利息制限法の上限金利による引き直し計算をして減額された元本をもとに分割して返済していくことになります。

 ただし、債権者の中には特定調停に対して協力的でない場合もあり、また、簡易裁判所ごとに調停基準に差があるため、調停成立までの期間の遅延損害金や調停成立後の利息(将来利息)を支払わなければならない場合もあります。

 

③民事再生(小規模個人再生など)

裁判所に申し立てることによって借金を大幅に減額する手続です。

住宅ローンについてだけ支払いを継続して、他の債務を大幅に減額することができますので、多額の返済により住宅ローンが支払えなくなっている場合でも、この手続きによって自宅を失わずに済む場合もあります。自己破産と異なり、自宅を失わずに済みますが、住宅ローンの他に、減額した借金を原則として3年で完済できる計画を立てて返済していくこととなります。

 

④自己破産

多額の負債を抱えて現在の収入や財産では返済が不可能となった場合には、できる限りの財産をお金に換えて債権者に平等に配当し、借金をした原因等を考慮して、裁判所によって借金を免除してもらう手続です。生活に必要不可欠な金銭や財産については、自由財産として処分しないで済む場合もあります。

自己破産と聞くと悪いイメージが先行してしまい、多大な不利益があるのではないかと思っていらっしゃる方もおられますが、そのようなことはありませんので、一度ご相談下さい。